夢うさんブログ ~自然が好き~

森林セラピーガイドで茶道家、写真撮影大好きな”むうさん”による、自然体感レビューブログです

植物に学ぶ生存戦略 ブログで面白く解説します~カタクリ~

こんにちは むうさんです^^

NHK番組の『植物に学ぶ生存戦略 話す人・山田孝之』、の再放送をあらためて見て、面白かったので、番組以外の植物も、自分が調べた生存戦略を、ブログで書いていこうと思います。

今回は、早春に紫色の花びらを反らせて咲き誇るカタクリの生存戦略を、夢うさんブログで詳しく解説します。

 

春の妖精 カタクリ

元々、私は、樹木の生き残り戦略に興味があって、自然観察をはじめたのですが、野の花も頑張っていることを番組で知ったことから、興味に拍車がかかりました。

↓樹木の生存戦略、おすすめの本(amazonのリンク先)
イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか―樹木の個性と生き残り戦略

植物は、動けないことから、生き残るために様々な工夫をしています。
その工夫が、人の生き方や、商売の仕組み、組織の戦略などのヒントになります。おつき合いいただけると嬉しいです^^

カタクリとは

カタクリと言われてもすぐにピンとこないかもしれません。
片栗粉のカタクリというと、少し身近に感じるでしょうか。元々はカタクリの茎からとったデンプンが片栗粉だったのです。

 

7,8年を経て花を咲かせるカタクリ

そんなカタクリですが、一番の特徴は、発芽から7,8年してはじめて花を咲かせる山野草であるということ。
タンポポのように発芽したらその年に花を咲かせることはできないのです。
そんなカタクリの生存戦略からご紹介します^^

植物に学ぶ生存戦略~カタクリ~

生存戦略1:稼げる時に目一杯稼ぐ

カタクリは、春の1月ほどを地上で太陽の光を得て稼ぐと、すぐに葉っぱをたたんで、1年の大半を球根として地下で過ごします。

このブログ記事のカタクリの写真は、神奈川県の城山かたくりの里で撮影したものです。
かたくりの里は私有地で、所有者の方がかたくりの咲くこの時期だけ、一月ほど一般者に開放してくれます。入場料は500円で、広い園内はカタクリだけではなく、雪割草などの草花や、ダンコウバイ、ミツマタ、マンサクなどの樹木の春の花をで埋め尽くされています。
この時期だけ開放してくれて、カタクリの花を間近に見られます。ですから、かたくりの里としての稼ぎは、この時期だけとなります。

まさに、カタクリの戦略そのものです。

 

一ヶ月間だけのカタクリの地上生活

一年のうち、カエデやコナラなどの落葉樹の葉が茂り、日の光が地面まで届かなくなる前の一ヶ月間ほどで一年分の光合成をして、球根に蓄えておきます
それ以上、地上で葉っぱを広げていても、新緑に覆われた地面には、日の光があたらず光合成もできずに、葉っぱを広げているだけ赤字経営になってしまうからです。

落葉樹が葉をつけていない時期で、かつ寒さが弱まり凍ってしまわない時期を狙って芽生えて活動するのです。

生存戦略2:時間をかけてでも、確実に目的を達成する

上に書いたように、カタクリは1年のうちの一月しか稼げません。
期間が短過ぎて、光合成で稼げる量もしれています。発芽した年にいきなり花を咲かすことはできません

発芽して一年目はカタクリの葉らしきものはなく、ヒョロっとした細い葉のようなものだけです。
2年目〜4年目は、葉が1枚だけで、その1枚で光合成をして稼ぎ、稼いだものを球根へ蓄えて、次の年につないでいきます。
さらに、5年目をすぎると葉っぱは2枚になります。
そんなふうに少しずつ大きくなりならが、大人のカタクリへ成長していくのです。

そして、7、8年目にようやく花を咲かせます

カタクリにとって、花を咲かせて種を作り子孫へつなげていくのが目的です。
そのためには、時間がかかっても、カタクリとしてできることを確実に実行して、達成していきます。
厳しい環境の中でも、自分のできることをやりきって、精一杯戦っています

生存戦略3:広告と連動した購入率を上げる仕組み

●虫を呼び込むサイン
花の中心に虫に向けた広告を出しています。
ギザギザした模様があり、この模様は、虫の目には光り輝くように見え、虫に蜜の在り処を教えるサインになっています。
虫というターゲットに絞った、ターゲッティング広告です。

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紫色のギザギザ模様は、ターゲッティング広告

ただし、カタクリは広告を出しただけでは終わりません。それを見て足を運んでくれる虫たちが確実に購入(カタクリの場合は、受粉の助けになってくれる)するように連動した仕組みがあります。

●受粉を促す仕組み
昼と夜とで花びらは開閉します。
夜や寒い日は、花びらのは閉じたままです。虫たちの活動が弱い、寒い時は開かないようになっています。

 

寒い日は昼でも閉じたまま

暖かくなり花が開くと、今度は、花びらは反り返っていて、花の中央のターゲッティング広告を虫たちに向けて見せています。

広告を見て訪問して虫たち、次は蜜を吸おうとします

 

蜜を吸いたくても花びらが反っていて足場がない

ところが、蜜を吸いたくても足場がありません。でも、蜜がほしい虫たちは、突き出たオシベに掴まって、蜜を吸います。すると、虫の体中に花粉が着く仕組みになっています。
そんな虫が次の花へ行くと、カタクリの狙い通りに受粉がされます

カタクリの生存戦略は、いかがでしたでしょうか?

樹木と違って、草花は一つの花が一つの個体となるため、子孫を残すという自分の役割をまっとうするのです。
早春の今、足元からやってくる春を探してみてはいかがでしょうか。

植物に学ぶ生存戦略~おすすめの本~

最後に、私のおすすめの本をご紹介しておきます。

『野に咲く花の生態図鑑』 多田多恵子/著

さまざまな植物の生存戦略や、生態などが、やさしくかかれています。
一番の魅力は、写真がたくさん掲載されていて分かりやすく、頭で理解するだけではなく、フィールドにでて実際に見ているような感じで読めることです。

今回ご紹介したカタクリをはじめ、タチツボスミレ、ヤマボウシ、ホオノキ、カラスウリ、セツブンソウ、マンリョウ…。
取り上げられている34種類の植物のことがわかりますご興味ある方は、是非チェックしてみてください。

 

植物に学ぶ生存戦略で紹介された植物以外であったり、紹介された植物についてより詳しく知りたい方へ、上の本を含むおすすめの本を6冊ご紹介しています。
こちらもチェックしてみてください。



【参考文献】
・野に咲く花の生態図鑑 多田多恵子著
・柳生真吾の雑木林はテーマパークだ! 柳生真吾著

カタクリを見られるおすすめの場所をご紹介します。
城山かたくりの里(神奈川県相模原市)です。ブログ記事で行ったときの実感レビューを書いています。
↓城山かたくりの里 ミニハイキングで花を満喫
【感動】城山かたくりの里 ミニハイキングでお花を満喫レビュー