こんにちは むうさんです^^
『植物に学ぶ生存戦略 話す人・山田孝之』は、2018年9月から2021年4月にかけて、
NHKで、5回に渡って放送された番組です。最近でも、再放送と5回目が放送されていました。
タンポポ以外にも下のツユクサの記事など書いていますので、是非、ご覧になってください。
番組で紹介されていた、たくさんの植物の生き残り戦略の中から、今回は、春になると足元で黄色い花を咲かせるタンポポをご紹介します。
植物に学ぶ生存戦略 番組の概要
アナウンサーの林田理沙さん、俳優の山田孝之さんが、コント劇をやりながら、様々な植物の生存戦略を教えてくれます。
植物は、動けないことから、生き残るために様々な工夫をしています。
それが、人の生き方や、商売の仕組み、組織の戦略などのヒントになるので、NHKで5回も企画、放送されたのだと思います。
では、
放送された植物の生存戦略はどんなものなのかを、具体的に、タンポポについて、ご紹介します。身近なタンポポにも、生き残るための戦略があります。
春になるとタンポポが、そこかしこに咲いています。身近な花ですが、実は色々と戦略を練っているのです。
植物に学ぶ生存戦略~タンポポ~
外来種のセイヨウタンポポと、在来種のタンポポ
タンポポというと、いっしょくたに考えますが、実は、昔から日本に生えていた主にカントウタンポポなどの在来種のタンポポと、外来種のセイヨウタンポポがあります。
この2つには、生存戦略として、大きな違いがあります。今回は、タンポポの色々な生存戦略のうち、放送された部分に絞ってご紹介してます。
●見分け方
在来種のタンポポと、セイヨウタンポポ。誰でも見分けられる方法はあるのかというと、あるんです。
タンポポの花の裏、根本の緑色の場所、普通の花のガクの部分(タンポポでは総苞片)が、外に反り返っているのがセイヨウタンポポ、反り返っていないのが在来種のタンポポなのです。下の写真で確認してみてください。
ツボミの時期でも分かりますので、タンポポを見かけたら、花の裏の部分を見てみてください。
この外来種と、日本在来のタンポポでは生存戦略にどのような違いがあるのでしょうか?
タンポポの生存戦略の違い
2つのタンポポの大きな違いは、ひとつでも生きるか、仲間と一緒になって集団で生きるかです。
どちらがどちらでしょうか?
その前に両方のタンポポに共通の戦略からご紹介します。
共通の生存戦略:ライバルのいない時期を狙う
春早くから咲くタンポポの花
タンポポは、秋に新しい葉をだして生長し、ロゼットという葉を地面にへばりつかせて、厳しい冬を越します。
そんなことまでして、なぜ、これから冬になる秋に葉を出すのか?
それは……、
春になってら真っ先に花を咲かせて、虫たちを独占するためです。
ライバルの少ない時期を狙う戦略なのです。
在来種のタンポポの生存戦略
では、そんな春先に活動する虫は何か?
アブです。
アブは黄色が好きなので、タンポポにとってはもってこい。というか、アブに来てもらうために黄色い花になったのでしよう。
早春の花に黄色が多いのは、そのためです。
そんなアブですが、ミツバチとは異なりタンポポから見ると困った習性があります。
ミツバチは同じ花をまわって止まるのですが、アブは、花の種類にこだわらずに、好き勝手に種類の違う花にも止まります。
ようするに、アブの体に花粉をつけても、他の種類の花に行かれて受粉されない可能性が高いということです。
植物の最大の目標は子孫を残すことですから、困ってしまいます。
タンポポはどうしたのか?
タンポポは群生となり、多くの同じ種類の仲間のタンポポが集まって、同じ場所で咲くことを戦略としたのです。
在来種のタンポポは仲間と一緒
一面にタンポポが咲いていれば、アブもわざわざ遠くの花へ行かずに、近くの花で蜜が吸えれば好都合なので、タンポポの次もタンポポとなり、狙い通りに受粉できます。
在来種のタンポポは、集団で生きる戦略なのです。
セイヨウタンポポの生存戦略
セイヨウタンポポは、別の戦略を採用しています。
なんと、虫なんていなくても種をつくってしまうのです。
受粉もせずにクローン種をつくる。ですから、虫の体に花粉をつけてなどは必要がなく、仲間がおらず一つで咲いていても種をつくり、子孫を残せるのです。
このことにより、たくさんの花が咲く広い場所でなくとも構わないということです。
ですからアスファルトの道路脇、ちょっとした隙間の土の場所など、狭い場所でもそこかしこで生きることができます。
これが、セイヨウタンポポが都市部で増えた理由のようです。
このように独立して一人で生きる戦略なのです。
※参考:クローン種をつくるようになったのは、アブに対する戦略というよりも、氷河期に昆虫が減ってしまったためといわれています。
余計な投資はせず、リスク回避をする
自然では、自身の力を生き残るために効率よく最大限発揮します。無駄なことに投資していると、他の植物に取って代わられてしまいます。背を伸ばす競争であれば、そこに全力投球するのです。
そんな自然の無駄のない世界で、自分で種がつくれるので、花を咲かせる必要のなさそうなセイヨウタンポポ。
なぜ、花を咲かせているのでしょうか?
花粉や蜜を、虫に振る舞っているのでしょうか?
実は、セイヨウタンポポのメスは生殖能力がないのですが、オスはその花粉で他のタンポポと受粉できるのです。
虫に体にセイヨウタンポポの花粉がつき、在来種のタンポポの花へ飛んでいき、受粉することで、セイヨウタンポポと在来種のタンポポとが交配して、雑種が生まれるのです。
セイヨウタンポポの旺盛な繁殖能力で、種を残すためのリスク回避として、雑種としてでも生き残ろうとしているのです。
おすすめの本
このように、植物の生存戦略は、面白いです。私は、興味を持って色々と本を読んでみました。
その中のおすすめの本をご紹介します。
『38億年の生命史に学ぶ生存戦略 著者:稲垣栄洋』
植物の専門家が書いた、生物の生存戦略の本です。タンポポについても触れられています。
「ナンバーワンを目指すべきか、オンリーワンを大切にするべきなのか?」
自然界では、「ナンバーワンしか生き残れない」。
これは、自然界の生物の世界に存在する唯一の真実である。
から始まってどんどん引き込まれていきます。是非チェックしてみてください。
植物に学ぶ生存戦略で紹介された植物以外であったり、紹介された植物についてより詳しく知りたい方へ、上の本を含む、おすすめの本を6冊ご紹介しています。
こちらもチェックしてみてください。
また、植物に学ぶ生存戦略については、他の植物の面白い生き残り戦略も記事に書いています。是非、ご覧ください。
【参考文献】
・38億年の生命史に学ぶ生存戦略 著者:稲垣栄洋
・花はなぜ咲くのか? 著者:鷲谷いづみ