こんにちは むうさんです^^
おとなの自然観察(等々力渓谷 前/中篇)に続く後篇です。
後篇では、日本庭園からの等々力渓谷の自然観察について、散策レビューしていきます。
まずは、広場を出発し、日本庭園に向かいます。場所は下の地図の右下に大きく枠で説明がくくられています。
日本庭園は、等々力渓谷のミニビジターセンター
日本庭園の書院
日本庭園の書院にはぜひ足を運んでください。
等々力渓谷にビジターセンター(訪れた人に場所の説明をするところ)と銘打った建物はないのですが、日本庭園にある書院がその役割を果たしています。
書院は、建物の中に入ることができます。そして、書院の中の、畳と床の間のあるお部屋には、等々力渓谷での植生(どのような植物が生育しているか)の調査結果や、季節ごとのお花などの見どころが掲示されています。
入口には、ティーサーバーがあり、冷水や温かいお茶がカップで飲めます。ここで少しお休みになり、時間を過ごしてください。という心遣いなのだと思います。
部屋に入らなくてとも、軒下には木のベンチと、大きめの縁台が置かれており、日を避けつつ、外の空気を吸って休憩をすることもできます。目の前には日本庭園が広がっていますので、気持ちよく過ごせます。
日本庭園の書院の中に入れば、畳と座敷机、床の間には花があり、ゆっくりできます。ゆったりしながら、等々力渓谷について掲示を読んでみると、色々と学べます。
等々力渓谷の植生
昭和30年頃(1950年代)の植生は、斜面に生えるシラカシとケヤキがまだ10メートル程度の樹高で、比較的低くて、明るい樹林だったということです。低地部にはスギの植林が一部あり、斜面上部の台地部にはコナラ林もあって、当時はまだ電気とガスが完備されていなかったので、薪として活用もされていました。ただ、その後、人の手が入らないようになって、鬱蒼とした林となっていく過程のなかで、現在生育するムクノキやミズキが増えていったようです。
昭和30年代以降に電気とガスが整備されたため、薪や炭をつくっていた里山に人の手が入らなくなったのは全国的なことですので、それが等々力渓谷でも起こったということのようです。
また、人の手がはいっているときは、ケヤキが木材として価値があったので、ムクノキやミズキなどは生えてきても人が伐採してしまい、生育していなかったのだと思われます。自然にまかせてみると、植生に変化が起こったということです。
季節ごとの見どころの掲示をみると、8月はエノキの実が赤くなったものや、クサギの花が楽しめます。日本庭園にはザクロの木があり、ザクロが赤く色づきながら実っているのを発見しました。
この後、日本庭園をさらに楽しみながら、竹林がある場所を通って川まで降りていけますし、次に紹介する芝生広場によってもいいでしょうね。
芝生広場
日本庭園から出ると、芝生広場があります。
空も広く見渡せるような広さがある場所です。トイレも完備されていますし、広場の周りにはベンチが多数あるので、外の空気をいっぱい吸いたい時はお勧めの場所です。
サクラの木があるので春は綺麗でしょうし、柿の木には緑色の柿の実が、緑の葉の中で迷彩色になっていて目立たないようにしながら、たくさんなっていました。遠くからでは全くわからなかったのですが、近くでよく見ると柿の実がたわわになっていることを発見しました。
また、日本庭園の下の石垣には、苔が生えていました。苔の観察もできます。
乾いていて、苔が元気がなかったので、持参した水の入ったスプレーでシュッシュして湿り気を与えたら、瑞々しくなり苔らしさがでてきました。
矢川橋から斜面上部の台地へ
日本庭園から先は、川沿いも住宅地になりますので、日本庭園から川に下りたところで引き返して、等々力駅に向かうのもいいと思います。
私は、斜面上部の台地に興味があったため、住宅街を抜けてもう少し先の矢川橋までいって、台地側を引き返すコースを行ってみます。
途中、川沿いの台地側にミズキの紫色の実が花を咲かすように実っていました。
上の地図の通りで、矢川橋までは川沿いで、その後地図の左側にある矢印がやや右上を向いているコースへ行きます。
矢川橋についたら左に曲がって橋を渡り、坂を上がっていくと左に道が出てきます、これが地図上のやや右上を向いている矢印です。その道の方へ左へ曲がって少し行くと、左側に台地部への入口があります。
入口を入ると、地図の左側の茶色の広い部分です。
手入れがされているせいか、大きなケヤキの木、イヌシデ、コナラ、ヤマザクラなどの昭和30年以前の植生が残っていました。ツバキには、緑色の大きな実が吊り下がっています。
道も整備されていて歩きやすい場所ですし、渓谷の下とは生えている樹木が違いますので、少し足を伸ばしてみる価値があります。
その先には、御瀧の茶屋「雪月花」への入口と、真っ直ぐ行くと等々力不動尊がありますが、不動尊を経由して川へ戻ってもいいですし、「雪月花」の方へ行けば、そのまま渓谷へ戻ります。そこからは谷沢川に沿って、行きに来た道を戻って等々力駅へ行けます。
まとめと振り返り
東京23区内唯一の渓谷で自然観察を楽しんでみました。暑い夏でも涼がとれて観察しやすかったです。
そして、季節ごとに見どころも違い、梅雨の時期であれば様々な苔が出迎えてくれて、ルーペを持って観察する機会もできるでしょう。等々力渓谷は苔観察としてもお勧めの場所です。
もし、樹木や植生のことを知りたいのであれば、日本庭園の書院には、等々力渓谷の植生については、ご紹介した以外にも、非常に詳しい多くの資料が展示されています。書院にはぜひ立ち寄ってください。自然観察の知識を楽しみながら得られます。
等々力渓谷、樹木には名前と説明が書かれたプレートもあり知識を得ることもできますので、何度も足を運んでみる価値のある場所です。
また、
樹木のことを知りたい方へぴったりの本をご紹介します。
「樹木博士入門」は、樹木の生きている様を豊富な写真で具体的に教えてくれます。
眺めているだけで樹木に詳しくなれる本です。事典+図鑑で樹木がわかる!とおすすめです。気になっている方は、是非チェックしてみてください。
自然観察をしてみたい方は、自然観察の5つの手順をご説明していますので、是非、ご覧ください。
等々力渓谷 Googleマップ