こんにちは むうさんです^^
YouTubeチャンネル「2B Channel」を運営している写真家の渡部さとるさんの著作となる『撮る力 見る力』を読みました。
読んだきっかけは、「2B Channel」のYouTubeを見ていて、写真の理屈など面白い話をする人だなと感じてですが、写真の撮り方、見方を、深いところから教えてくれる貴重な本でした。
「Youtuberはつらいよ」というお題で、YouTuber向きのカメラというライトな話から、「最近の東京都写真美術館の写真は なぜわかりづらいのか?」という高度な話まで、写真について教えてくれる本でした。
今回は、『撮る力 見る力 渡部さとる著』のブックレビューです。
▼撮る力見る力 渡部さとる著
渡部さとるさんとは?
YouTube「2B Channel」
私も、「2B Channel」のYouTubeを見て知った口です。
私が好きなYouTube動画は、下の2つです。
ポートレート撮影について調べていると出てきたのが上の動画で、これが渡部さとるさんとの出会いでした。基礎的だけど意外と知らないことを4回に分けて教えてくれる動画です。
もう一つは、写真家 奥山由之さんの写真集の考察で、写真集の考察シリーズはとても面白いです。
ポートレート撮影 基礎編1回目 どこで撮ればいいの?
写真集を読む#奥山由之『Bacon Icecream』
プロフィール
この本にもでてきますが、最初は、日刊スポーツ新聞社の報道カメラマンとして3年間働いた後に、退社して、フリーランスカメラマンになったとのことです。
フリーになって2年目に建築の写真がこれから儲かるとアドバイスを受けて、建築写真を撮っていたら、バブル期と一致して、ライカ買って、外車買って、賃貸ながら高級マンションに住んでといういい時代を過ごしたようです。
この時代にカメラマンは儲かったようです。
『撮る力 見る力 渡部さとる著』に書かれたプロフィールは下の通りです。
『撮る力 見る力 渡部さとる著』が最新の著書です。
『撮る力 見る力』ブックレビュー
興味引く31個のお題
この本は、渡部さとるさんが話をした内容を書籍にまとめているので、話を聞いているような感じで、読みやすい本です。
冒頭にこんなやりとりがあります。
渡部さとる「お願いがあるんだけど、本を書く手伝いをしてくれない」
相方「編集ってことですか?」
渡部さとる「そうじゃなくて、僕の話し相手になって欲しいんだ。お題について僕が話すから、それに相づちうってもらうだけでいいから。」
こんな感じの本です。内容は、写真について、他では聞かないような話なので、興味をひかれます。
そのお題は、31個!
その中から2つだけ、内容を紹介していきます。
Youtuberはつらいよ
どうしも機材の話を聞いてみたくなってしまいます。カメラ好きですから。
報道カメラマン時代から、キヤノン一筋40年だったようで、YouTubeを始めるときも、キヤノン EOS 5D MKⅢを使っていたので、そのまま動画機として使おうとしていたようです。
ところが、30分制限はあるわ、動画だとAFは合わないわ、外部マイクにはホワイトノイズがのるわ、で使うのをあきらめて、当時は動画といえばパナソニックだったので、GH4を使い始めたようです。
ここから、キヤノン路線から外れて行って、戻ることはなかったとのこと。キヤノンユーザーとしては少し寂しい感じです。
その後、シグマのFPなども試しつつ、ついに「ZV1」からSONY機になったいき、「α7Ⅳ」になり、動画だから専用機の「FX30」と切り替わったようです。
その過程に色々とエピソードがあって、その話が面白いのと、この次のお題が「”還暦”カメラ」となっていて、こちらは写真用のカメラの話をしてくれています。
黄金比からの空問題
このお題は、写真の構図の話となります。
はじまりは、”「今の写真に構図ってありますかね?」で始めたら、他の3人が「ない」って言ってしまって話は終了。※本文から抜粋。”です。
そうは言っても、その途中で”構図の必殺技”を教えてくれます。
相方「必殺技教えてください!」
渡部さとる「ファインダーいっぱいに大きな楕円を意識して、その中を何らかしらで埋めて。(途中略)どうやって埋めるかがその人の個性っていうこと。」
相方「埋める?ですか‥‥‥何で埋まればいいんですか?」
渡部さとる「人でも物でも草花でもなんでもいい、ボケを使って埋めてもいいよ。僕がこの「埋める構図」に気がついたのが、ダ・ヴィンチの絵を見ていたとき。画面に余白がなくて、全部何らかしらで埋められていて「あれ?!」って思った。」
美術にも詳しい渡部さとるさんらしい、必殺技を教えてくれます。ボケについても、この本の中で”ボケと「BOKEH」”と西洋でのボケ事情と歴史について、話をしてくれているのです。
渡部さとる「青い空に大きな雲とかがあれば画面を埋めてくれるけど、やっぱり曇り空はね。よほど意図がない限り僕は入れない。面白いのは空をすべて排除してしまうと、遠近を感じなくなるよ。ほら、この写真の空を手で隠してみて。」
相方「ホントだ! 遠近感が消える。不思議。」
渡部さとる「だから、基本的に画面を埋めて、ほんのわずか、3%くらい空を入れることで遠近感を出すことができるよ。」
やっぱり、空って少し入れたほうが、立体感が出るので、いいんだと思った次第です。
『撮る力 見る力』はおすすめ
内容を紹介してきましたが、読みやすく、それでいて中身が詰まっている上に、お題が分かれているので、テンポよく話が進んでいくのも、心地よい本です。
渡部さとるさんの写真への視点が面白く、40年の経験から考えてきた様々なことが学べる本でもあり、とってもオススメです。是非チェックしてみてください。
▼撮る力見る力 渡部さとる著