こんにちは むうさんです^^
道を歩いていると街路樹があったり、公園に行くと木々が生い茂ったりしていますが、それぞれの樹木に、生き残るための戦略があるなんて、考えたこともなかったです。
その生き残り戦略を樹木ごとに教えてくれるのが、『樹木の個性と生き残り戦略』の3部作です。
樹木ごとの違いを知ることで、樹木の種類を見分けるのも楽しくなりました。
▼第一作『』のレビュー記事
今回は、樹木の個性と生き残り戦略 3部作の第2弾、『アセビは羊を中毒死させる 渡辺一夫著』を紹介します。
▼イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか
▼アセビは羊を中毒死させる
▼アジサイはなぜ葉にアルミ毒をためるのか
樹木の生き残り戦略とは
樹木の生き残り戦略は、様々あるようですが、自分自身を延命することと、もう一つは子孫をいかに残すかという2つの方向性があります。
この3部作に書かれていることを紹介すると、
◎自分自身を延命する
・萌芽再生:
《例》スダジイ 萌芽枝を出しておいて、主幹(一番太い幹)が倒れた場合に備えて待機している。
・根萌芽:
《例》アカメガシワ 根萌芽と呼ばれるクローンで増える戦略。地下数センチの深さで根を横に伸ばし、適当な場所で発芽させる。
◎子孫を残す(種子の種類)
・実:
《例》ミズキ 上向きにつき、鳥が見つけやすい。
・どんぐり:
《例》トチノキ 大きいため、地上部の芽を食べられても再度芽生えることができる。
・液果(おいしい果肉に包まれた種子)
《例》タブノキ 種子は食べられずに散布される。
樹木には、自分自身が大きくなりすぎて、栄養が不足することで枯れてしまうリスクがあります。それを、自分の分身を作って延命するのが、萌芽です。
また、鳥などの動物との共生であったり、再生力であったり、と子孫を残すことにも貪欲だからこそ、現在の樹木は生き残ってきているのです。
樹木の種類によって、それぞれ異なる戦略をとることによって、他の樹木との差別化を図って、生き残ろうとしています。生命力を感じます。
アセビは羊を中毒死させる ブックレビュー
28種類の樹木の戦略
”樹木の個性と生き残り戦略”3部作の第2作が、『アセビは羊を中毒死させる 渡辺一夫著』です。
この本だけで、28種類もの樹木を紹介し、3部作では、36+28+19=83種類もの樹木の生き残り戦略を紹介してくれています。
そして、最初のページから釘付けでした。
常緑樹も葉を入れ替える
この本の最初に紹介されている樹木は、クスノキです。
クスノキって、どういう樹木?
と思いながら読んでいくと、意外なことを教えてくれます。
クスノキというと常緑樹で、葉っぱを一年中つけていますが、春に一斉に葉っぱを新しいものに入れ換えるようです。
「五月ごろになると、新しい葉が出るのと同時に、紅葉した古い葉がパラパラと舞い落ちてくることだ。クスノキは常緑樹であるが、春に一斉に葉を入れ替えるのである。」
いつも葉っぱがある樹木が、いつ葉を入れ替えるかなんて、考えたこともなかったです。
ただ、そこから、葉っぱの働き(光合成)具合がわかるようです。
「一般に、落葉樹の葉は、半年(春~夏)しか働けないという宿命から、ガムシャラに働く(光合成効率が高い)ものが多い。そのため多くの落葉樹は、日当たりがいいと生長が速い。
逆に、常緑樹の葉は長い間働くが、ダラダラ仕事をする(光合成の効率は低い)ものが多い。このため、日陰でゆっくりと生長するのが得意である。」
常緑樹の葉っぱのように、のんびりと働くのもいいなぁ~なんて、共感しながら読んでしまいました。
桜や、ケヤキ、などの落葉樹は、暖かい季節しか葉をつけていなくて、一年分の栄養を光合成から産み出さないといけないので、ガムシャラに働いているようです。
一方、常緑樹は一年葉をつけているので、葉の働き方も生長も早くないのです。
そうすると、常緑樹のクスノキは、ゆっくりと生長するのかと思いきや、違うみたいです。
「クスノキは常緑樹としてはガムシャラに働き、速く生長するタイプである。その性格は落葉樹に似ていて、常緑樹としては異端といってよい。クスノキは、環境さえ良ければかなり速く生長し、しかも長い期間継続して生長するため、大きなサイズになる。」
実際に、環境庁が平成元年に行った「日本の巨樹」の調査では、クスノキがベスト10のうち、4位のエドヒガンを除いて9つを占めていました。
樹木の個性と生き残り戦略3部作はおすすめ
ご紹介した通り、樹木が様々な戦略、そして個性をもって生き残ろうとしていることを教えてくれます。
身近な樹木もたくさん載っています。例えば、『アセビは羊を中毒死させる』では、クスノキ、アセビ、クリ、ユズリハ、クヌギ、スギ、ヒノキなど28種類もの樹木について紹介されています。
このように、樹木の戦略をわかりやすく教えてくれる『”樹木の個性と生き残り戦略”3部作』は、とてもおすすめです。是非、チェックしてみてください。
▼イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか
▼アセビは羊を中毒死させる
▼アジサイはなぜ葉にアルミ毒をためるのか