こんにちは むうさんです^^
今まで3回にわたって、フィルムシミュレーションの比較レビューをしてきました。
今回は、
①新たな作例でのフィルムシミュレーションの比較。
②色の飽和を抑制するカラークローム・エフェクト。
③空の青の表現に効果的なカラークローム・ブルー。
を紹介します。
フィルムシミュレーションの特徴や富士フイルムのカメラの画像の詳しいことを知りたい方は、『FUJIFILM 画質完全読本』というFUJIFILMのカメラのフィルムシミュレーションを含む画質全般を紹介している本がおすすめなので、是非チェックしてみてください。
▼『FUJIFILM 画質完全読本』
- フィルムシミュレーション 過去3回の記事
- フィルムシミュレーション撮影の機材と場所
- フィルムシミュレーション比較
- カラークローム・エフェクトの効果検証
- カラークローム・ブルーの効果検証
- フィルムシミュレーション使い分けのまとめ
フィルムシミュレーション 過去3回の記事
1回目は、
最新の18モードのフィルムシミュレーションを搭載したFUJIFILMのミラーレスカメラ、X-T4、X-S10、X-T30Ⅱのスペック比較をまじえながら、フィルムシミュレーションの撮影画像を比較しました。
2回目は、
3枚の作例でどのフィルムシミュレーションが良いと感じたかをそれぞれベスト3をつけました。3枚のそれぞれのNo1は下の通りです。
1枚目:Velvia/ビビッド
2枚目:PRO Neg.Hi
3枚目:PROVIA/スタンダード
思った以上に印象が良いのがPRO Neg.Hiです。
X-S10カメラに内蔵された説明では「コントラストを高めた、ややメリハリのあるポートレート撮影に適します」とありますが、色合いとしては彩度が高くも低くもなく適度で、かつシャドー部が締まっていてくっきりとした写真になります。
3回目も、
2回目と違った色合いの作例で、フィルムシミュレーションを比べてみました。3枚それぞれのNo1は、
1枚目:PROVIA/スタンダード
2枚目:ASTIA/ソフト
3枚目:クラシックネガ
でした。
クラシックネガは、赤色と緑色が独特の色合いとなり、それがなぜか古さと懐かしさを誘ってきます。そんな不思議なフィルムシミュレーションです。
PROVIA/スタンダードが意外と安定して良かったです。
最初に紹介した『FUJIFILM 画質完全読本』から抜き出すと、
「富士フイルムがフィルム製造の過程で醸成してきた「記憶色」を採り入れており、青空や海は青く、肌色は血色よく、緑はイキイキとした鮮やかな緑になる」。
ですから、PROVIA(プロヴィア)は、”人の記憶にある色”とFUJIFILMが考えている色なのです。
その他のモードについてなど、詳しくは、『FUJIFILM 画質完全読本』をご覧ください。
フィルムシミュレーションの特徴や富士フイルムのカメラの画像の詳しいことを知りたい方は、『FUJIFILM 画質完全読本』というFUJIFILMのカメラのフィルムシミュレーションを含む画質全般を紹介している本がおすすめなので、是非チェックしてみてください。
このブログでも、『FUJIFILM 画質完全読本』をレビューしました。参考にして、ご覧いただけると嬉しいです。
▼『FUJIFILM 画質完全読本』
フィルムシミュレーション撮影の機材と場所
撮影モード
・モード:絞り優先モード
・ホワイトバランス:AUTO
・Jpeg撮って出し(後からの補正なし)
撮影に使ったレンズ
今回は、
広角の単焦点レンズ:フジノンレンズ XF18mmF1.4 R LM WR
中望遠の単焦点レンズ:フジノンレンズ XF56mmF1.2 R
で撮影しました。
『XF18mmF1.4 R LM WR』は、35mm換算で27mmでスマホくらいの画角で、広く撮影したい時に使い、
『XF56mmF1.2 R』は、35mm換算で84mmで、ポートレート用の画角となっています。ボケが綺麗なレンズなので、ボケを強調したい時に使いました。
フィルムシミュレーションについて
今回は、モノクロ系、セピア系を除く9種類を比較しました。
その9種類は、
・PROVIA/スタンダード
・Velvia/ビビッド
・ASTIA/ソフト
・クラシッククローム
・PRO Neg.Hi
・PRO Neg.Std
・クラシックネガ
・ETERNA/シネマ
・ETERNAブリーチバイパス
です。
2回目、3回目は9種類比較したのですが、今回は、PRO Neg.Std、ETERNAは除いています。
なお、/の右側にどんなモードなのか概略を書いています。
撮影場所
東京の都心部、皇居の近くです。
撮影したカメラ
『FUJIFILM X-S10』です。
▼FUJIFILM X-S10ボディ
フィルムシミュレーション比較
街中スナップで交差点の写真を比較してみます。イチョウの黄葉もあり、ビルの色合いもあるので、フィルムシミュレーションを比較するのにちょうどよい街の風景です。
▼PROVIA/スタンダード
▼Velvia/ビビッド
▼ASTIA/ソフト
▼クラシッククローム
▼PRO Neg.Hi
▼クラシックネガ
▼ETERNAブリーチバイパス
Velviaの良さは、色のりが良くて観光写真のような綺麗な仕上がりになります。ですが、私が気に入ったベスト3は、
No1:クラシックネガ
この最新のビル街と昭和の色合いのミスマッチが面白い。ぱっと見た時の色は昭和時代の雰囲気。でもよく見てみると、ビルは最新の造り。このミスマッチが新鮮です。
No2:ETERNAブリーチバイパス
ちょうど自動車も走っていなくて、ビル街の無機質感を表現できている。
No3:PRO Neg.Hi
私が感じる自然な色合いで街並みが表現できている。
ビル街だと、クラシックネガ、ETERNAブリーチバイパスなどがマッチすることがわかりました。ただ、どのフィルムシミュレーションを気に入るか人によって違ってきそうです。
カラークローム・エフェクトの効果検証
高彩度の被写体では、色が濃すぎて飽和して諧調がでずに塗り絵のような状態になります。その色飽和を抑制して、従来よりも深みのある色再現、 階調再現をさせるのが「カラークローム・エフェクト」のようです。
強・弱・OFF の3段階から選べます。今までフィルムシミュレーションを比較したものはすべてOFFにしています。
今回は、色飽和しやすい赤の高彩度の花を被写体に、彩度が高くなるフィルムシミュレーションVelviaをベースにカラークローム・エフェクトの効果を検証しました。
また、その写真をPROVIA、ASTIA、PRO Neg.HiなどのVelviaより彩度の低いフィルムシミュレーションとも、比べてみました。
▼Velvia/ビビッド:カラークローム・エフェクトOFF
中央の赤い花が赤で塗りつぶされています。
▼Velvia/ビビッド:カラークローム・エフェクト強
中央の花のディテールが、赤の色が濃いまま(彩度が高いまま)しっかりとでています。カラークローム・エフェクトの効果ありです。
撮影現場で、写真を撮ってモニターで見た時に、効果が凄い!と感じました。
▼PROVIA/スタンダード:カラークローム・エフェクトOFF
赤の彩度が低く、白くモヤがかかった感じです。
▼ASTIA/ソフト:カラークローム・エフェクトOFF
赤の色がずれているのと、Velvia+カラークローム・エフェクト強、ほどディテールがしっかりとでていません。
▼PRO Neg.Hi:カラークローム・エフェクトOFF
今回の中ではディテールが一番はっきりとしています。PRO Neg.Hiは黒の締まりがよく、影もしっかりと出るからだと思われます。ですが、彩度とディテールの両立については、Velvia+カラークローム・エフェクト強が一番良いと感じます。
このように、高彩度で、諧調を出したり、ディテールをはっきりさせたいときは、カラークローム・エフェクトは強い味方となります。
カラークローム・ブルーの効果検証
写真を撮影していると、なんで今日は青空でないんだろう、青空がほしいと、思うことがかなりあります。青空バックならもっと綺麗に撮れるのに……と。
そのような要望を実現しようとしたのが『カラークローム・ブルー』です。
どんよりした空でも、スカッとした青空へしつつ、他の被写体への影響は最小限に抑えるエフェクトです。
以前、FUJIFILMのフィルムシミュレーションの開発者のインタビュー記事を読んだ時に、夏の家族旅行は必ず、カラークローム・ブルーをONにして撮っていると言っていました。
どのような効果になるか検証していきます。撮影した日がある程度青空があったので、その環境での比較となります。
▼PROVIA/スタンダード カラークローム・ブルーOFF
PROVIAだと、もう少しスカッとした青色の空が欲しいと感じます。
▼Velvia/ビビッド カラークローム・ブルーOFF
Velviaにしただけでも、良い感じの青空です^^
▼Velvia/ビビッド カラークローム・ブルー弱
青空の色が、よりはっきりしました。
▼Velvia/ビビッド カラークローム・ブルー強
カラークローム・ブルーは魔物ですね。カラークローム・ブルーを”強”にすると、この方が良いと感じて、Velviaならカラークローム・ブルーOFFでもいい感じという感覚を忘れてしまいます。
青空以外の部分は、露出の揺れで明るさが多少違っていますが、色みが青に寄ってしまったりしていません。このように、カラークローム・ブルーは青空へ限定された効果となっていて、使いやすいエフェクトです。
フィルムシミュレーション使い分けのまとめ
フィルムシミュレーションを使っていくと、それぞれの特徴がわかってきて、撮影前にイメージが湧くようになってきます。
花なら、PROVIA、Velvia、PRO Neg.Hi
人の撮影なら、PRO Neg.Hi、ASTIA、PROVIA
ビル街など無機質の表現なら、ETERNAブリーチバイパス、クラシッククローム
どのシチュエーションでも懐かしさ、昭和を再現するならクラシックネガで撮ると魔法がかかります。
逆に私の中で使い方が難しかったのが、PRO Neg.stdとETERNAでした。PRO Neg.stdはPRO Neg.Hiよりもコントラストが低くもやっとした感じになり、私がPRO Neg.Hiを気に入ったので出番がないのです。もしかしたら、ポートレート撮影でやわらかく撮りたい時に向いているのかもしれません。
ETERNAは動画用のフィルムシミュレーションです。薄いグレーの膜が1枚かかったように彩度、コントラストが低く、私が写真の中でこれはいい!というシチュエーションは見つけられていません。
おすすめの使い分けとしては、人の記憶に訴える万能なPROVIAで撮影しておいて、クラシックネガでも撮っておくと、私はいいと感じています。
また、フィルムシミュレーションブラケットという機能を使うと、1回の撮影で事前に設定していた3種類のフィルムシミュレーションで撮ることができる便利な機能があるので、1回1回、どのモードにしようと考えるのが面倒であれば、最初に3つのフィルムシミュレーションを選んで撮影するのも良いと思います。
今、最新の18種類のフィルムシミュレーションの入ったカメラでおすすめなのは、2021年11月に発売になった『FUJIFILM X-T30Ⅱ』です。『X-S10』と同じセンサーとエンジンなので同じ画像が撮影できて、価格がX-S10より2万円以上価格が抑えられています。是非、チェックしてみてください。
▼FUJIFILM X-T30Ⅱボディ
『FUJIFILM 画質完全読本』というFUJIFILMのカメラのフィルムシミュレーションを含む画質全般を紹介している本がおすすめなので、是非チェックしてみてください。